2015/12/23 18:01
写真:ヘルマンヘッセをイメージした作品でもある雑貨作品『蝶々帳 (MorgenVogel)』
彼は蝶の収集家で蝶をテーマとした詩も多く、蝶や蛾が登場する詩だけを集めた詩集も出版されたりしました。シジミ蝶やモンキ蝶といった小柄で可憐な蝶から、クジャクヤママユは勿論のことオオムラサキやアポロなど煌びやかな蝶まで様々な羽虫を彼は詩にしました。
もちろん本棚を探れば、他の哀愁的な作品も見当たります。『銀河鉄道の夜』といえば誰もがすぐに彼の名前を呼びます。宮沢賢治も私が愛する哀愁を書いた一人です。他にも有名な作品では『注文の多い料理店』『ヨダカの星』...挙げれば切りがないですが、彼も旅の中、人生の中で多くの詩を残しています。『銀河鉄道の夜』や『グスコーブドリの伝記』が映像化された事もあり、彼の作品に対し多くの人が似たイメージを抱えるようになったのではないでしょうか。
やはり、彼の作品へのイメージと言えば星々が青く無数に光る夜空など、青色が象徴的です。
以外にも、先生と呼ばれ農業を営んでいた頃の詩には草木の輝く水々しい夏の緑、故郷青森を歌った詩からは「巨きな水素のりんごのなかを—」の一節から連想できるような仄かな青、また病状の妹に向けた詩『永訣の朝』には冷たいミゾレの染みるような白さ、多くの色を彼の生涯から連想させられます。
hinaReu作品「飾り窓」シリーズはそんな彼の詩々の中から汲み取った幾つもの色がコンセプトに繋がってます。
飾り窓の色名「窓景色」は水々しい夏の"緑"、「海景色」は水素の中の仄かな"青"、「冬景色」は死を悼み染みる"無色"
この3色がそれに当たります。
こちらの作品は、詩が記された台紙"風景の詩"を使ったパッケージだというところなど、記憶による情景の具現化がコンセプトとなっています。
これで、hinaReuの哀愁の概念が何処から来たものかご理解頂けたでしょうか。
私の作品が少々ダークな雰囲気なのも此れまた"文学"に由来するのですが、そちらはまた別の機会に。
ここまでお読み下さり有難う御座いました。それでは、皆様、好い一年を。